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カテゴリー: 映画感想

サバイバー

サバイバー(原題:Survivor
97分

 優秀な外交官であるケイトは日々真摯に職務を全うしている。その日も彼女は怪しい人物を見つけては本当の目的が何かを突き止めようとするのだが、同僚に邪魔されてしまう。彼女が疑い深いだけで何も問題はない――と思われたが、ケイトの直感は当たっていた。その人物を疑い、調べてしまったがためにケイトは命を狙われる羽目になってしまう。

 命の危機に曝されつつもなんとか生き延びて、ケイトは一人で行動していた。しかし運悪く容疑者の濡れ衣を着せられてしまい、着々と悪人へと仕立て上げられていく。けれども彼女はそこら辺の警察ではとても太刀打ちできない。何故なら彼女は優秀だからである。……そう。いくらなんでも優秀なんて言葉では説明できそうにないが、そう説明するしかないのだ。

 いっそスパイであって欲しいくらいに優秀な外交官と、噂の割に女一人仕留められない伝説的な暗殺者。もう少し設定はなんとかならなかったのだろうか。多少のパニックはあっても冷静になるのが早すぎる気もするし、暗殺者はヘマが多すぎる。最後の方も容疑が晴れていない割にあっさり和解しすぎというか……。脚本に難はあるが、娯楽映画としては悪くもない作品だろう。

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ザ・フォーリナー/復讐者

ザ・フォーリナー/復讐者(原題:The Foreigner
110分

 テロに巻き込まれて娘を失ってしまった中華料理店の経営者クァン。彼は首謀者への復讐を考え、名前を知りたがる。しかしそう簡単に名前を教えてもらえるはずもなく、クァンの行動は過激になっていく。観客も途中から明らかに普通じゃないと気付き始め、なんだこの老人は……と思い始めたところで正体を知る。ネタバレではあるが、彼がただの経営者だとは思えないだろうから書いてしまおう。クァンは非常に優秀な元工作員だったのだ。

 ここまで書いてしまえば映画好きなら想像できる通り、クァンは年齢を感じさせない身体能力と知識で恐ろしいほどの行動力を発揮する。テロの首謀者が誰なのか。クァンはこのままどこまで暴走してしまうのか。彼がやられてしまう展開は一切想像できないまま、物語は複雑そうに見せて意外にもシンプルな構造のまま進行していく。

 色々と捻ってはいるものの、アクション映画の枠からは出ないまま本作は終わる。何らかのはっきりした結末を求めている者には物足りないまま幕を閉じてしまうので、消化不良だのなんだのと文句を言いたくもなるかもしれない。007シリーズで知られるピアース・ブロスナンと、アジアのアクション映画では説明不要のジャッキー・チェン。彼らの演技を楽しむのが本作の醍醐味ではないだろうか。残念ながらアクション要素はジャッキー・チェンにしかないが……。

 ちなみに本作で登場する組織や名称等には実在するものがあり、恐らくはそういった歴史的背景を知っていれば更に深く楽しめるだろう。とはいえそこまでの知識がない私でもアクション映画として楽しめたのだから、わざわざ調べて知識を身につける必要もない。どちらかの俳優が好きで、アクションが観たい。そんな理由でもいいから、気負わず楽しんで欲しい一本だ。

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テイキング・オブ・デボラ・ローガン

テイキングオブデボラローガン(原題:The Taking of Deborah Logan
90分

 アルツハイマーの老婆を取材していると様々な恐怖に襲われる作品。老婆の演技やちょっとしたグロ表現はホラー映画としてはそれなりだが、恐怖心を煽る手法がベタな上に音やカメラの揺れといったものに頼りすぎている印象を受ける。ドキュメンタリーらしさとホラーらしさを追求しすぎたのか、結局これは何だったのかと首を傾げてしまう。ちょっとしたグロ要素やモキュメンタリーを求めていれば悪くないのかもしれないが、ターゲットがよく分からなかった。

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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
127分

 大抵の人は優れたものを欲しがる。それは外見であったり、誰もが舌を巻く頭脳であったり、誰からも愛される人柄であったりと様々なものがある。本作の主人公であるウィルは外見も頭脳も優れており、本気になれば大抵の夢を叶えられるだろう。しかし彼は定職にも就かずに清掃員として働き、端から見れば非常に勿体ない生き方をしていた。

 もちろん彼がそんな生き方を選んだのには理由があり、自身の考えから今の人生を歩んでいた。才能を活かさない日常を送り続けるつもりだったが、彼も好奇心には勝てなかった。ある日の清掃中につい数学の難問を解いてしまい、お節介な教授に目を付けられてしまうのだ。そのせいでウィルの人生まで少しずつ変化していくのだが、性格まではそうそう変えられない。

 厄介な理由からこじれてしまった性格で様々な人に迷惑を掛けながら、彼は心を開ける相手を見つける。決まった時間の限られたコミュニケーション。長い時間を掛けて積み上げられた高く堅牢な壁にも小さな穴が空き、その穴は少しずつ拡がっていく。その穴から光が差したその時、ウィルはようやく本当の自分を曝け出すことになるのだった……。

 頭の良い非行少年の成長記。本作を一言で表現するとしたらそんなところだろう。しかし丁寧に練られた脚本と憎い伏線は、たとえ分かっていたとしても涙を誘う。道を間違えた時に正す存在ではなく、道を照らしてくれる存在。それに心から成功を願ってくれる親友。人と共に生きる難しさや喜び。本作を観れば大切な人と生きる日々の美しさを知ることができるだろう。

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主人公は僕だった

主人公は僕だった(原題: Stranger Than Fiction
112分

 どの作品にも欠かせない存在というものはある。誰もが魅了される愛しいヒロイン? 知恵と狡猾さで観客を苛立たせる憎たらしいライバル? 違う。彼らは存在しなくとも成立する。当たり前すぎて忘れてしまうが、作品に欠かせない存在といえば主人公である。主人公が存在しなければ作品には何の展開もない。ただ地球を写しているだけの映像であれば、主人公は地球そのものだろう。机の上にあるだけのボールペンですらも、そのものを捉えていれば主人公である。

 この作品における主人公はハロルド・クリック。規則正しい生活を送る一人の人物でしかない。彼はいつも通りに生活していたが、ある時からふと声が聞こえるようになる。その声が自分の行動を細かく描写することに気付き、彼はこの声の正体を突き止めようとするが……聞きたくも無かった言葉を聞いてしまい、自分の運命から逃れようと奔走する。

 私たちは意思を持ち、自身の選択によって行動するだろう。空腹だと思えば食事を……いや、あえて空腹のままでいるかもしれない。トイレに行きたくても我慢する人だっているだろう。誰がどう選択しようと、それは当人の自由である。勤務中に仕事をしなければ注意もされるだろうが、休暇中に遊んでいようが何も言われない。私たちは人生を送り、道を選び続けるのだ。

 だがもし、自分の行動が誰かの意思によって決められていたら。そう考えるとぞっとしてしまう。なんとなく選んだ珈琲も、誰かがその珈琲を飲むように仕向けたのかもしれない。自分の意思で諦めた道も、本当は諦めなくて良かったのかもしれない。そこに自分の意思はなく、誰かの筋書きで動かされているのだとしたら……そう思うと、何もかもが信じられなくなる。

 本作の主人公は声に気付き、自分の運命を知った。だからこそ自ら運命を切り開こうと今までに無い行動を取り始めた。ナレーションと主人公の行動。同じようなテイストのゲームに『The Stanley Parable』というものがある。しかしこちらはナレーションと違う行動をとると天の声が牙を剥く。本作とは無関係だが、興味があれば是非遊んでみてほしい。

 この感想を読んでいる者も、恐らくは自分の意思で文章に目を通しているのだろう。けれどもそれを保証する者はおらず、確信を抱くのも難しい。今文章を認めている私自身ですら信用は出来ない。考えれば考えるほどに恐ろしくなる、主人公である自分自身の人生。果たしてその人生は誰が描くものなのか。決まり切った人生に疑問を抱いた時、この作品に触れてもらいたい。

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ブレア・ウィッチ・プロジェクト

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(原題:The Blair Witch Project
81分

 今となってはそこまで珍しくもないモキュメンタリー・POVの大ヒット作。ドキュメンタリー映画を撮影しに、伝説の魔女がいるという森の中へ向かい、そのまま失踪してしまった学生たち。彼らのビデオ映像を編集し、そのまま映画化した――という内容になっている。正直に言ってしまうと企画や話題性ありきで、今見るとそこまでの驚きはない作品だろう。

 学生という設定もあり、彼らのインタビュー映像やふざけている姿は洗練されていない。ひたすら他人のホームビデオを見せられているような気分にもなるが、その素人臭さがなければこの作品は成り立たない。もしこれが事実だとしたら、これには一体どんな理由があったのか……と考えるような、陰謀論や考察が好きな者には今でも面白い映画なのかもしれない。

 もし本作がヒットしていなければ、今頃はB級映画ファンがたまに思い出す程度の扱いだったかもしれない。ただ本作はヒットした。ヒットしてしまったおかげで記憶に残り、ヒットしてしまったせいで一定の評価も得てしまった。決して悪い映画ではないが眠気を誘い、ホラーを期待して肩透かしにもあう。話題作だからと期待せずに、軽い気持ちで観た方がいいだろう。

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エグザム

エグザム(原題:Exam)
101分

 色々と謎が多い企業の就職試験会場には8人の男女が集まっていた。試験監督が口を開き、彼らは試験に備えて集中していくが……いざ試験用紙を捲るとそこには何も書かれていなかった。白紙の試験と制限時間。彼らは試験監督の言葉を振り返り、問題を見つけようとする。ルールは何か。ルールの真意とは。ある受験者がルールの意味を理解したところで物語は動き出す。

 限られた舞台、決まったシチュエーションでの映画はそれなりに存在する。棺桶に閉じ込められて土の中に埋められた男が主役の『リミット』や、電話ボックスを舞台に口先だけでなんとか事態を乗り越えようとする『フォーン・ブース』は個人的にも気に入っている。ただ本作の場合はそれらの作品とも違い、部屋を移動しない『キューブ』といった方が分かりやすい。

 彼らはどうにかして試験に合格し、高額な報酬を手に入れたい。だからこそ仕方なく協力しあうのだが、採用予定の人数はすでに決まっている。お互いの本質を露わにしながらも目的の為に行動し、裏切る。彼らがどういう立場で問題が何なのかといった点は割と分かりやすいが、それぞれの個性が絡み合って退屈させない作りになっている。人間ドラマファンのみならず、脱出ゲームやひらめきを重視するクイズ番組辺りが好きな方におすすめしたい。

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ソイレント・グリーン

ソイレント・グリーン(原題:Soylent Green)
97分

 人口は増え続ける一方で食品は枯渇し、今まで一般的だった食品の価値が高騰した未来。職も安定せず、そのままでは死ぬしかないような人々も多い。しかし彼らには食べ物があった。ソイレント社が作る味気ない食材――ソイレントである。ソイレント・イエローにレッド。新しく作られたグリーンと種類もあり、原料もそれぞれ異なるがどれも美味しいという声はきかない。

 現代の人からすれば人らしからぬ生活を送る貧民達の姿が目立つが、富裕層は対照的に恵まれた生活を送る。ある高級住宅街にも他人が羨む日々を送る者が居た。その者は暗殺者に命を狙われるが抵抗もせず、死を受け入れる。彼はどうして抵抗しないのか。死を決意するほどの何を知ってしまったのか。物語は彼の死から大きく動き出すことになる。

 彼の死を担当した優秀な刑事ソーンが事件を調査するシーンが殆どであり、激しいアクション要素もそう多くない。どこか薄暗い空気のまま、じわじわと真相に近付いていく。どうしてその秘密を知った者は死を選ぶのか。何故他の人にまでその選択は伝染してしまうのか。その世界にあるものは何か。ソイレントとは何であるか。恐ろしい世界を観てみたい方におすすめしたい。

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アイデンティティー

アイデンティティー(原題:Identity
90分

 死刑執行の前夜になっての再審議とモーテルでの殺人事件。物語は同時進行で進み、観客は二つの出来事の関連性を見出そうとするだろう。そして関連性を見つけた時、ふと勘違いに気付く。しかし勘違いはそれだけでは済まず……。この作品はサスペンスだが、単に犯人を当てるだけでは終わらない。モーテルに集まった人々の共通点とは何か。何故カウントダウンされていくのか。どうして鍵があるのか、誰なら出来るのか。整合性を意識しすぎず、どうやったらこうなるのか……と考えれば真相に気付けるかもしれない。二転三転と裏をかかれる構成は巧みで、最後のシーンは色々と考えさせられる。ガチガチのミステリーやサスペンスは好まず、普段はファンタジーやクライム映画を観るような方におすすめしたい。

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死刑台のエレベーター

死刑台のエレベーター(原題:Ascenseur pour l’échafaud
92分

 ある目的の為に準備をしてきた男が計画を実行し、成功する。しかしお粗末な後処理のせいで現場に戻ることとなり……。展開としてはよくあるサスペンスだが、事前準備に力を注いでいたくせにどうしてそれを忘れるのか? と首を傾げてしまうストーリーは賛否両論だろう。動転していると言えばそれまでだが、ある場所から出る為に試行錯誤する様もスマートには見えない。視点が変化しながら様々な姿が映し出される演出が目立ち、気付けば主役も代わっている。面白いのは確かだが、色々と理不尽で納得しにくい箇所はあった。悪くはないものの、サスペンスに完璧さを求める者には物足りない作品だろう。

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